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東京高等裁判所 昭和58年(行ケ)117号 判決

一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本願発明の特許請求の範囲)及び三(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。

1 成立に争いのない甲第一四号証(昭和五七年九月二四日付け手続補正書)によると、本願訂正明細書に、本願発明に関する目的及び作用効果に関して次のような記載があることが認められる。

(1) 本願発明は、測距儀又は顕微鏡において、空間周波数の最大振幅面を検出することにより対象物の距離を測定する距離測定装置に関するものである(第二頁第一三行ないし第一六行)。

(2) 従来のこの種の装置としては、<1>ラスター形状の試験物体の明暗視野をスリツト状の遮光板を通して光電部に交互に迅速なシーケンスで到達させるものがあつたが、このものは特別に準備された試験物体像にだけ焦点合わせができるにすぎず、しかも機械的に高速で動く部材を必要とするため、多額の費用を要するという欠点があつた。また、<2>一方が焦点面の直前に、他方が焦点面の直後に置かれる二つのラスター状の試験物体像の明暗視野がスリツト遮光部材を通り交互に光電部に速いシーケンスで到達するようにしたものも知られ、このものは、光電部の出力側に発生する台形の電流パルスの傾斜度が焦点合わせの尺度に用いられて、光学系の焦点合わせはすべての傾斜度が同等になるまでなされるものであるが、このものも機械的に高速で動く部材を必要とし、かつ、右部材は合わせようとする物体の位置になければならないため、往々にして実施不可能になるという欠点があつた。このほかに、<3>結像鮮明度が最良の値になるように対物レンズを調整する場合、オートコリメーシヨン望遠鏡の前又はオートコリメーシヨンの位置に配置した光電管によつて行い、光電管の受光面に検査すべき対物レンズを介して光源からの光線を所要の強さをもつて投射するものも知られているが、このものも、前もつて準備されかつ据え付けられた試験物体にのみ使用可能なもので、離れた所にある任意の目標までの距離の測定には不利である。さらに、<4>光学系を通る光束を、二分される光線の分離面が光軸を含むように二分し、光軸に沿つて系に対して移動可能なフーコーのナイフエツジを配置し、ナイフエツジが両分された光線の明るさに同じ割合で作用する位置を探すことができ、このことを光電式に定め得るようにしたものも知られているが、このものは、任意の物体構造の像相関をとる場合、輝度分布が不均一であるため用途が非常に限定されているという欠点があつた(第二頁第一七行ないし第五頁第五行)。

(3) 本願発明は、右のような従来のものの欠点を除去し、多方面に使用可能な距離測定装置を提供することを目的として(第五頁第六行ないし第八行)、前記特許請求の範囲に記載の構成を採用し、この構成によつて、次の<1>ないし<6>のような作用効果を奏する(第七頁第一四行ないし第一〇頁第九行)。

<1> 光電式受信器系の出力は、焦点の合つた像を結ぶ結像面と格子との相対的位置に応じて変化する。その理由は、明るさの分布が、対物レンズの結像面と格子との相対的位置によつて異なるからである。

<2> 一定の明るさの分布を持つ像には、各々定まつた空間周波数スペクトルが付随しており、焦点が合うようになると、像に付随している高周波成分が強くなり、低周波成分が抑制されるようになる。

<3> 像を受ける面に配置されている空間周波数フイルターは、それらの格子定数に対応する空間波成分を対象物の像の空間波からろ過する作用を呈する。また、ろ過された空間周波数成分は焦点合致の際に最大の強さを有するものとなる。このようなことから、対象物と空間周波数フイルターとの間の相対運動に関係なく、所定空間周波数成分の強さを検出することにより焦点が合つたことを検出できる。

<4> 光電式受信器系の二つの受信器は、互いに一八〇度だけ位相がずれている二つの信号の差を採用することで、抽出された空間波の振動する成分のみが零又は二倍になつて抽出される。

<5> 対物レンズを動かすことにより空間周波数フイルター上の合焦状態が変わり、空間周波数成分が最大強度になると、対物レンズを停止してそのときの対物レンズの位置により距離を算出する。

<6> 焦点が合つていない状態において、空間周波数フイルターの前に合焦状態があるか空間周波数フイルターの後に合焦状態があるかは、出力信号の位相の位置により検知することができる。

2(1) 審決は、「像相関をとるために「対物レンズの後の焦点近くに配置され対象物の少なくとも一つの空間周波数を含む手段」とは漠然としてどのようなものか不明であり、空間周波数フイルターとしての相関格子を使用するものと理解しても、任意の対象物に対して焦点調節が完全に成立するための瞳孔分割方式の構成や位置関係等について依然として不明である。」と判断している。

(2) まず、本願発明の特許請求の範囲第一項の構成にある「対象物の少なくとも一つの空間周波数を含む手段」についてみると、成立に争いのない甲第二一号証(「岩波理化学辞典第三版」一九七一年五月二〇日株式会社岩波書店発行第三四四頁ないし第三四五頁)によると、「空間周波数」は、「光学結像において、物体又は像の強度分布を構成する周期的な構造の細かさを表す量であつて、一mm当たりに含まれる正弦状の強度分布を持つ格子模様の周期の数で表す。単位はmm-1(一mm当たりの本数)で表す。」旨定義されていることが認められる。右定義によれば、空間周波数は「像の強度分布におけるきめの細かさを表すもの」であると解され、空間周波数をそのように解したときは、「対象物の少なくとも一つの空間周波数を含む手段」の表現は、日本語を用いて発明の構成を示すものとして不適当であつて、この表現をみる限りにおいては、その手段は、審決がいうように漠然としたものであつて、その実体が不明であるというべきである。

しかしながら、本願発明の特許請求の範囲には、右の表現に先立つて「対物レンズの後の焦点面近くに配置され」とあるように、右手段の配置箇所が対物レンズの焦点面とされていること、及び、右表現された「手段」との記載に続いて、「該手段の後に配置され対象物像のあらかじめ定められた空間周波数を検知しその空間周波数に応じて出力信号を発生する一個又は複数の光電受信器」とあるように、右手段は、光電受信器に空間周波数を供給するものであるとされていることを参酌して考えれば、本件出願図面第1図の実施例においては相関格子3(ウオラストン・プリズム4、偏光分割器5も含まれる。)、第2図の実施例においては相関格子3(集光用光学系13、14、射出絞り15、16、遮光板17も含まれる。)、第3図及び第3a図の実施例においては相関格子21、第4図及び第4a図の実施例においては格子24(対物レンズ13´、14´、射出絞り15´、16´も含まれる。)、そして、第5図及び第5a図の実施例においては複数の角錐体27を有する担体26が、それぞれ右手段に該当するものであることを認めることができる(右各図面は別紙図面(1)参照。右各符号に対応する部材の名称は、前掲甲第一四号証によつて認められる本願訂正明細書中の図面の簡単な説明の欄の記載に基づくものであり、右各図面の記載は、成立に争いのない甲第二号証(本件願書)によつてこれを認める。)。

右にみたところによると、「対物レンズの後の焦点面近くに配置され対象物の少なくとも一つの空間周波数を含む手段」との表現も、構成要件としての意味内容を把握できるものというべきである。

(3) 次に、右手段が空間周波数フイルターとしての相関格子を使用するものと理解する場合に、審決がいうように、任意の対象物に対して焦点調節が完全に成立するための瞳孔分割方式の構成や位置関係等について依然として不明であるか否かについて検討すると、本願訂正明細書には、前記1で判示したような目的、構成、作用効果についての記載があり、それらを要約すると、本願発明は、対物レンズの移動による右像の鮮明度の変化を特定空間周波数として検出し、この検出信号の大きさにより、像の強度が最大になる面を検出することによつて対象物とその像との間の距離を測定するものであるといえるから、本願発明においては、必ず瞳孔分割方式を利用しなければならないものではないということができる。

ただ、本願発明において、第2図に示されている実施例は瞳孔分割方式を利用しているものであるが、右実施例における各構成要素の配置関係は、前掲第2図の記載(別紙図面(1)第2図参照)から理解できるところであり、また、本願訂正明細書の第一三頁第二〇行ないし第一四頁第四行に、右実施例における作用(動作)について、「像及び格子平面の位置が同じ場合には、受信器6、7が受ける光量は同じであるので、計器9は差信号ゼロを表示する。これに対し、両光量の交点が格子面からずれている場合には、両受信器6、7は異なつた光量を受ける。」と記載されていることが前掲甲第一四号証によつて認められ、この記載の内容は、原告が主張する別紙図面(2)の参考図第12図ないし第14図の状態を説明しているものと解される。

また、右第2図に示される実施例の作用につき本願訂正明細書において説明している中では直接記載されていないが、前掲甲第一四号証によつて認められる他の実施例の記載及び本願発明の目的、作用効果についての本願訂正明細書の前記記載を勘案して考察すると、右実施例においては、対象物の像が相関格子3の平面上に形成されている場合、すなわち、焦点が合つている場合に計器9に供給される電気信号の大きさと、右像が相関格子3の平面上からずれている場合、すなわち、焦点が合つていない場合に計器9に供給される電気信号の大きさとが異なつて入ることは自明のことと解されるから、計器9に供給される電気信号の大きさを、右像が相関格子3の平面上に形成されている場合の大きさになるように対物レンズ2を移動させれば、所定の焦点調節ができることもまた自明なところと認められる。

そうすると、本願訂正明細書の前記記載は、簡潔にすぎて不明確なきらいはあるものの、任意の対象物に対して焦点調節が完全に成立するための瞳孔分割方式の構成や位置関係等について不明であるということはできない。

3(1) 審決は、「光電受信器により空間周波数の最大振幅の面を検出する点についても、その実施例によればプツシユプル(差動)増幅器による信号処理で行われるようになつているが、どのような原理により空間周波数の最大振幅の面を検出できるのか、請求人が参考文献として提出した「アサヒカメラ」の記載をみても依然として不明である。」と判断している。

(2) しかしながら、以下に判示するとおり、本願訂正明細書の記載全体及び本件出願図面の記載に照らせば、どのようにプツシユプル(差動)増幅器による信号処理が行われるか、及び、右信号処理によつて得られた信号が、その後どのような形で空間周波数の最大振幅の面を検出することに利用されるのかについて、理解できないわけではないということができる。

まず、第1図の実施例についてみると、前掲甲第一四号証に右第1図に示されるところを合わせみると、本願訂正明細書の第一〇頁第一五行ないし第一三頁第六行に次のような趣旨の記載があることが認められる。

<1> 対物レンズ2は相関格子3の平面に対象物の像を結ぶが、この場合、ウオラストン・プリズム4の複屈折により右像は二つになり、これら二つの像は相関格子3の平面において格子定数の半分だけ互いにずれている(第一〇頁第一九行ないし第一一頁第四行)。

<2> 右二つの像の光線は相関格子3でフイルタリングされ、偏光分割器5で分離され、それぞれ光電式受信器6、7に入射されて、入射光の強さに対応した大きさを持ち、かつ、互いに一八〇度位相の異なる電気信号に変換される(第一一頁第五行ないし第七行及び第一二頁第九行ないし第一六行)。

<3> 一八〇度位相の異なる二つの電気信号はプツシユプル増幅器8に加えられて加算増幅され、測定計器9と調整器10に供給される(第一一頁第七行ないし第一〇行、第一二頁第一七行ないし第一三頁第二行及び第1図)。

<4> 調整器10に供給された信号は調整器10を制御し、右信号が最大振幅になるように調整される。この場合、相関格子3の平面における像の鮮明度が最適になり、距離は調整器10の付属目盛で読むことができる(第一一頁第一五行ないし第一二頁第八行)。

次に、第2図記載の実施例についてみると、前掲甲第一四号証に右第2図に示されるところを合わせみると、本願訂正明細書の第一三頁第七行ないし第一四頁第七行に次のような趣旨の記載があることが認められる。

<1> 対物レンズ2の両端部分11、12を通過した光線は、相関格子3を通つた後、それぞれ集光用光学系13、14と射出絞り15、16を介して光電式受信器6、7に入射する(第一三頁第一〇行ないし第一八行)。

<2> 光電式受信器6、7に入射する光量は、対物レンズ2の像が相関格子3の平面に形成されるときは同じになるが、右像が相関格子3の平面からずれているときは互いに異なつている(第一三頁第二〇行ないし第一四頁第四行)。

<3> 光電式受信器6、7に入射する光量が同じとき、光電式受信器6、7からの電気信号は同じ大きさでかつ同位相であるので、これらの信号はプツシユプル増幅器8において差動的に加算され、その出力信号は零になる。また、光電式受信器6、7に入射する光量が異なるときは、プツシユプル増幅器8からはそれらの差に対応した出力信号が得られる(第一四頁第二行)。

<4> 光電式受信器6、7の出力信号は調整器10に供給され、右信号は調整器10を制御して、右信号が最小振幅になるように調整される。調整後は、相関格子3の平面に像が結ばれて最適状態になり、距離は調整器10の付属目盛で読むことができる(第一三頁第七行ないし第九行及び第2図)。

また、第3図及び第3a図記載の実施例についてみると、前掲甲第一四号証に右第3図及び第3a図に示されるところを合わせみると、本願訂正明細書の第一四頁第八行ないし第一九行に次のような趣旨の記載があることが認められる。

<1> 相関格子21は、鋸歯状のプリズム列22によつて構成され、その各列の歯の向きが交互に反対になるように配列されているもので、対物レンズ2を通過した光線は相関格子21を通つた後、二つの光電式受信器6、7に入射する(第一四頁第八行ないし第一三行)。

<2> 光線が相関格子21を通る際、光電式受信器6に入射する成分と、光電式受信器7に入射する成分とは、相関格子21のそれぞれ異なる歯の向きの列によつて偏光を受けるので、光電式受信器6、7に入射された光線は、その入射光に対応した大きさを持ちかつ互いに一八〇度位相の異なる電気信号に変換される(第一四頁第一四行ないし第一七行)。

<3> 一八〇度位相の異なる二つの電気信号は、プツシユプル増幅器8に加えられて加算増幅され、測定計器9と調整器10に供給される(第一四頁第一七行ないし第一九行)。

<4> 調整器10に供給された信号は調整器10を制御して、右信号が最大振幅になるように調整される。この場合、相関格子21の面における像の鮮明度が最適になり、距離は調整器10の付属目盛で読むことができる(第一四頁第一七行ないし第一九行)。

さらに、第4図及び第4a図記載の実施例についてみると、前掲甲第一四号証に右第4図及び第4a図に示されるところを合わせみると、本願訂正明細書の第一四頁第二〇行ないし第一五頁第一一行に次のような趣旨の記載があることが認められる。

<1> 相関格子24は、溝断面が三角形の溝線25を有する溝ラスターで形成されているもので、対物レンズ2を通過した光線は相関格子24を通つた後で二分され、二つの光線成分はそれぞれ対物レンズ13´、14´及び絞り15´、16´を介して光電式受信器6、7に入射する(第一五頁第二行ないし第四行及び第七行ないし第一一行)。

<2> 光線が相関格子24を通る際、光電式受信器6に入射する成分と、光電式受信器7に入射する成分とは、相関格子24の異なる傾きを有する溝線25の部分で屈折を受けるので、光電式受信器6、7に入射された光線はその入射光の強さに対応した大きさを持ち、かつ、互いに一八〇度位相の異なる電気信号に変換される(第一四頁第二〇行ないし第一五頁第一行及び第一五頁第四行ないし第七行)。

<3> 一八〇度位相の異なる二つの電気信号はプツシユプル増幅器8に加えられて加算増幅され、測定計器9と調整器10に供給される(第一四頁第二〇行ないし第一五頁第一行)。

<4> 調整器10に供給された信号は調整器10を制御し、右信号が最大になるように調整される。この場合、相関格子24の面における像の鮮明度が最適になり、距離は調整器10の付属目盛で読むことができる(第一四頁第二〇行ないし第一五頁第一行)。

最後に、第5図及び第5a図記載の実施例についてみると、前掲甲第一四号証に右第5図及び第5a図に示されるところを合わせみると、本願訂正明細書の第一五頁第一二行ないし第一六頁第八行に次のような趣旨の記載があることが認められる。

<1> 担体26は、底面の端が互いに平行に隣接するように配置された複数の同種の角錐体27を有するもので、対物レンズ2を通過した光線は担体26を通つた後で四分され、四つの光線成分はそれぞれ対応する四つの光電式受信器28、29、30、31に入射する(第一五頁第一三行ないし第一六頁第一行)。

<2> 光線が担体26を通る際、光電式受信器28、29、30、31に入射する成分は、担体26の異なる傾きを有する角錐体27の部分で屈折を受けるので、一方の対の光電式受信器28、29に入射された光線はその入射光の強さに対応した大きさを持ち、かつ、互いに一八〇度位相の異なる電気信号に変換され、また、他方の対の光電式受信器30、31に入射された光線はその入射光の強さに対応した大きさを持ち、かつ、互いに一八〇度位相の異なる電気信号に変換される。これら二つの対の光電式受信器28、29、30、31に入射する光線部分は、像の二つの座標方向における輝度分布を示すものである(第一五頁第一二行ないし第一三行及び第一六頁第一行ないし第八行)。

<3>一八〇度位相の異なる二つの電気信号のそれぞれは、別個のプツシユプル増幅器に加えられてそれぞれ加算増幅され、測定計器と調整器10に別々に供給される(第一五頁第一二行ないし第一三行及び第一六頁第一行ないし第八行)。

<4> 調整器10に供給された二つの信号は、調整器10を制御し、それぞれの信号が最大振幅になるように調整される。この場合、担体26の面における像の鮮明度が最適になり、距離は調整器10の付属目盛で読むことができる(第一五頁第一二行ないし第一三行及び第一六頁第一行ないし第八行)。

以上のように、右各実施例におけるプツシユプル(差動)増幅器による信号処理の点、及び、右信号処理によつて得られた信号が、その後どのような形で空間周波数の最大振幅の面を検出することに利用されるかの点の記載は、その説明内容が詳細なものではなく、断片的な技術的手段を単に羅列しているにすぎないといえる部分も多く見受けられるものの、他の実施例の説明や図面の記載を参酌すれば、審決において参考文献として挙げている「アサヒカメラ」の記載内容について検討するまでもなく、理解できないわけではないというべきである。

4 以上にみたところによると、前記2(1)及び3(1)に摘示した審決の判断はいずれも誤りであるというべきである。したがつて、これらの判断を前提として、本件出願は特許法第三六条第四項及び第五項に規定する要件を満たしていないとした審決の判断も誤りであるというべきであり、結局審決は違法であつて取消しを免れない。

三 よつて、審決の取消しを求める原告の本訴請求は正当としてこれを認容する。

〔編註〕 本願発明の特許請求の範囲は左のとおりである。

1 可動な対物レンズと、該対物レンズの後の焦点面の近くに配置され対象物の少なくとも一つの空間周波数を含む手段と、該手段の後に配置され対象物像のあらかじめ定められた空間周波数を検知しその空間周波数に応じて出力信号を発生する一個又は複数の光電受信器と、該光電受信器よりの信号に応答して前記空間周波数の最大振幅の面が存在する対物レンズの位置を指示若しくは設定する手段とが設けられていることを特徴とする空間周波数の最大振幅面を検出することにより対象物の距離を測定する距離測定装置。

2 可動なる対物レンズと、該対物レンズの後の焦点面の近くに配置され対象物の少なくとも一つの空間周波数を有する相関格子と、対物レンズと相関格子との間に配置される対象物の像光線を少なくとも二つの光線に分離する分離手段と、

該格子の後に配置され対象物像のあらかじめ定められた空間周波数を検知しその空間周波数の振幅に応じた信号を発生する少なくとも二個の光電受信器と、

該光電受信器よりの信号に応答して前記空間周波数の最大振幅の面の存在する対物レンズの位置を指示若しくは設定する手段とが設けられていることを特徴とする、空間周波数の最大振幅を検出することにより対象物の距離を測定する距離測定装置。

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